「今すぐにでも楽になりたい」という思いから断食を考えているのでしたら、待ってください。

ダイエットのために断食をお考えの方もおられるかもしれません。または、デトックス(解毒)というイメージで断食を考えておられる方もいるかもしれません。

しかし「断食は慎重にしてほしい」ということが、断食にこだわり「断食ですっきりしたい」と実践してきた私の経験からいえることです。「断食は気をつけてしないとかえって健康を害する」ので、素人は「断食をしない」か「断食をするとしても専門のところ(断食道場など専門の施設)でした方がいい」ということを述べます。

断食をはじめたきっかけ

私の健康志向の原点は、高校生のときに出会ったユーガピア協会主宰の藤本憲幸氏の本でした。彼は17歳まで虚弱体質だったが、ヨガとの出会いによって劇的に強靭な肉体にできたといいます。

彼の影響でヨガ、断食、玄米食に関心をもつようになります。(ちなみに藤本憲幸氏は69歳で2016年5月5日にお亡くなりになりました)

いきなりの断食はできないので、断食道場に行く必要を感じていました。ただ学生の頃はそんな余裕もなく、断食に憧れるだけでした。それが社会人になり、仕事でがんばっているときは断食どころではありません。毎日の仕事で精一杯でした。

それでも、働きながら断食をしたことがあります。それは、いきなりの一週間の断食でした。

働きながら自分で断食をした結果

もちろん、断食に関する本を読んで理解したうえで自らチャレンジしました。断食でよくいわれるのが「断食をする目的をしっかりもつ」ということです。

キリスト教、仏教、イスラム教などのラマダンと呼ばれる宗教的な断食もあります。それはちゃんと神に祈るという目的があるのですから理にかなっているといえます。

ちなみにイスラム教に関しては信者の務めとしてあります。ラマダンと呼ばれイスラム暦9番目の月に行われます。30日間の断食になります。この月には日の出から日没まで何も食べない飲まないというものです。ただ、日没後に3食とります。どう考えても不健康と思えるのですが、断食は宗教的に大切なのでイスラム教では大事に考えています。

なんのために断食をするのかが明確でないと失敗するとよくいわれます。私は「仕事のうえで行き詰まりを感じていた」ことがあって、断食をして身も心も心機一転したいと考えていあました。もう1つ、宿便を排出するという経験もしてみたいという思いがありました。

一週間の間、食事は一切とりませんでした。水や白湯などは適当に飲みながら断食をしていました。断食では最初の2〜3日目がきついです。貧血のようになって、座っている状態から急に立つと立ちくらみがしました。

つらいときを過ぎると体がだんだんと慣れてくるということもあって、苦しくなく一週間の断食を終えることができました。ときおり、断食中に心臓に少し負担がかかっている感じがしました。その頃は体力もありましたから耐えるこができたのだと思います。

一週間の断食の後、やはり効果はありました。肌がすべすべになって、生まれたばかりの赤ちゃんの肌のようになったのです。そこまでは良かったのですが、復食といって徐々に食べる量を増やすことに私は失敗しました。

復食3日目に職場でテーブルのうえにあったポップコーンを「一口ならいいだろう」と思って食べたらやめられなくなったのです。働きながらの断食は誘惑が多すぎて失敗する確率が高くなります。

断食後は食べ物の吸収がいいので、いくら食べても食べれるのです。私は食べるのがやめられなくなってしまいました。結局、私はどか食いをして体を壊してしまいました。

食べ過ぎにより、体は太ってしまいました。断食後にいきなり大量に食べる(どか食いをする)と死んでしまうこともあるといいますから十分に気をつける必要があります。

私はこれ以来、断食は無理だと思ってやめました。個人でする断食は体を壊す危険があるということ身をもって体験したのです。この経験から私は「断食は決して個人ではしない」ことにしました。

個人で断食をして失敗した経験から15年以上経って、今度は断食道場を探して断食に再びチャレンジすることが始まりました。それは、仕事中に倒れたことから、体調管理が必要だと実感したからです。

断食道場には年に最低1回、多いときには2回行って、10年以上やってきた経験があります。

さらに断食を繰り返す間に気をつけるべき「意外な盲点」があることに気づきました。

断食をするメリットには盲点がある

断食のメリットでよくいわれることは以下のことです。

  1. 宿便を排出する(デトックス)
  2. 胃腸を休ませることができる
  3. 免疫力を上げることができる
  4. ダイエットになる
  5. 便秘が治る
  6. 病気が治る

実体験から確かに断食にはさまざまなメリットがあります。実際に断食を何度もしてみて分かったことは、それらのメリットは長期的視野で見ないと意味がないということです。そもそもメリットとうたっていることが実際と違っていることがあるのです。

断食に関して一番の衝撃だった情報は「宿便はない」という医学的見地からの情報です。これは自分の体験してきた断食経験とも合致するものです。いまだかつて宿便なるものが出たという経験をしたことがないからです。

宿便というのは、「長い間腸のひだに残っている便」というイメージをお持ちだと思います。私も「腸の中に残っている便を出し切ったならすっきりし、デトックスになる」と思って挑戦し続けてきました。

ただ、断食に置いて「宿便」が第一の盲点です。

腸は生きているので、動いていることを意識することが重要なことです。腸というのは、水道管や固定されている管とは違うのです。腸はいつも動いているので、腸内部の壁は動いて谷になったり山になったりするのです。

さらに、腸内部の壁になっている細胞は、数日で生まれ変わって古いものははがれて便として排出されます。腸の壁にべったりついている宿便というイメージは間違っているのです。

断食をする一番のメリットは宿便が出て、すっきりできるということだと強く思い込んでいました。ただ、それは全く考えなくていいことだったのです。

また、「胃腸を休ませることができる」ことも第二の盲点です。

確かに、断食をすれば断食中に胃腸を休めることができます。問題は、その後の胃腸のケアをしっかりしないと意味がありません。

私の働きながら一週間の断食をしたように、せっかく胃腸を休ませることができても復食で失敗して食べ過ぎてしまうようなケースがあります。これだと一定で胃腸を使うより、ドカ食いによって胃腸に急激な負担がかかります。「免疫力」、「ダイエット」も同様な理由で長期的な視野でみないといけません。

さらに「便秘が治る」これも第三の盲点です。

断食すると胃腸の調子がよくなって便秘が治るといわれます。しかし、私の場合は断食道場での断食後、かえって便秘が悪化してしまったことがあります。

これには正直、戸惑いました。体質によってかえって便秘が悪化することがあることがわかりました。

なお、断食道場で断食を始める前に下剤をみんなで飲むところがあります。これは断食中の排便をスムーズにする目的があると考えられます。おそらく断食で便秘になる方が少なからずいるのではないかということが予想されます。

「病気が治る」ことについても、必ずしもそうなるとは限りません。

断食は万能薬ではありません。確かに働きながらの一週間断食後はものすごく調子がよくなりました。それだけに、注意点があるのです。

私は、断食道場で断食中に胃潰瘍になってしまったことがあります。なぜ胃潰瘍になったかは定かではありませんが、断食中の指導下にあっても体調を崩すことがあるし、逆に悪化してしまうこともあります。

病状が悪化したのを単純に「病が治るために一時期具合がさらに悪くなる好転反応だ」と決めつけるのも危険です。指導者がいないと思わぬ事態になったときの判断ができません。

断食のメリットと思っていたことが、実際は気をつけるべき大きな点があったのです。

それでも断食をしてみたいという方には、専門の施設である断食道場ですることをお勧めします。

断食道場の選択と体験

断食をしようとするときには、「どういう断食施設を選ぶか」が最初の決断になります。私がどういった考えで断食施設を選んだのか、またその施設でどういった体験をしたのかを述べます。

断食道場の選択

日本全国には様々な断食道場があります。断食道場で多いのは、気候が温暖で温泉などもあるところです。関東圏や静岡の伊豆などは、いろいろなアクティビティーがあり、旅館のような断食道場が多いです。最近ではホテルであってもファスティング(断食)という名称で断食できる施設が出てきました。

どういった断食をしたいのかによって選び方も変わってきます。

私の場合は健康を増進するための断食になります。断食の食べない辛さをできるだけなくして、針灸やマッサージなどの体のケアもでき、健康にいいことが総合的にできるところを選ぶということです。

私の選んだ断食道場の特色と体験

健康増進のための断食道場選びをどうしたかというと、インターネットでいろいろと検索して調べました。予約のとりやすいところで、料金的にもリーズナブルなところ、気候的にも温暖なところと、いろいろと自分にあった条件のところを探しました。

伊豆にあるアイウェルネス伊豆高原にしました。伊豆という自然環境も気候もいいところにある断食道場です。伊豆は首都圏からも近く便利です。

アイウェルネス伊豆高原

私が最初に申し込んだときは、「みどり会保養所」の頃でした。ここは、医学博士故馬淵通夫先生が「治療」でなく「予防医学」を提唱されて始められた滞在型健康サポート施設でした。私が断食していた頃は、すでに馬淵通夫先生はお亡くなりになっていて医師はいませんでした。以下、断食コースの主な特徴を以下に述べます。

まず、予約を入れて当日の午後に入館します。この日から断食が始まります。

係の人から部屋の案内などを聞いて診察室で担当の方からの問診があります。

ここで「良導絡測定」による体調チェックがあります。「良導絡測定」とは体のツボとツボを結ぶ線を経路といい、その皮膚電流を計測することで、体のどこが悪いか分かったり、精神的なストレスも判明したりするすぐれた計測法です。

この「良導絡測定」での体調チェックで「今うつ的ですね」「今日は、肩や腕に緊張があります」という具合に言われるとピタリと当たるのです。この計測器は大変素晴らしいもので家でも使いたくなります。

計測結果グラフ

計測結果を見てみると、矢印で挟まれた範囲は正常といえますが、そこから飛び出ている値はチェックする必要がある項目です。それぞれの項目ごとに解説があって、その解説が見事に当たっているのです。

計測結果から分かった内容の説明

食事へのアドバイス

お茶は番茶とハブ茶です。これらはいくら飲んでもいいです。その日から断食が始まるので、酵素ジュース(ビネガー酵母液)が入った瓶をもらいます。その日飲む酵素ジュースが入っています。

断食といってもアルカリイオン水と酵素ジュースとハブ茶は飲むことができます。それで体調を整えます。酵素ジュースを食事のかわりに飲んでいました。水とお茶は適宜に飲みます。これで空腹感に悩まされることは少なくなります。

ここでは、マッサージがあったり、吸い玉と呼ばれるカップを背中に当てて真空状態にして皮膚を吸着させる療法を受けたりすることができます。この吸い玉を使った療法は、毛細血管を広げて血液のよごれを排出する働きがあります。

このように様々な治療を受けることができるので、断食中も退屈はしないです。

おおまかな断食中の流れです。

朝は午前8時に中国式の特殊な体操があります。そのあとさまざまな治療があって、復食のときは午前10時に朝食があります。復食は、玄米がゆから始まります。日中は散歩や特別なプログラムなどへ自由に参加できます。

復食のときは、午後5時に夕食になります。その後は自由に過ごします。

伊豆にあるのでお風呂は温泉です。断食中にお風呂に入ることもできます。ただ、長湯はしないように指導されています。断食中に長湯をすると倒れることがあります。

最終日は、来館したときと同じように面談があります。「良導絡計測」をして、最初と今を比較します。そこで、今後の食べ物の指導もされます。

アイウェルネスは自分の都合によって断食の日取りを決められるのでいいです。断食道場で断食をするたびにいろいろと断食の日取りを変えてみました。「1日の断食」「2日の断食」「3日の断食」と変更できます。

いろいろとやってみた結果「1日目に断食、2日目に復食、3日目に普通食に戻して終える」というのが一番自分にはあっていることがわかりました。

その理由は「断食が楽で普段の生活にもすぐに戻れる」という便利さです。断食の効果も十分にあります。

やすらぎの里

ここもアイウェルネスと同じ伊豆高原にあります。何度かここでも断食をしたことがあります。

だいたい断食の流れはアイウェルネスと同じ感じです。

ここの特徴としては、より温泉旅館に近いということです。露天風呂から外の景色も開放的に堪能できます。私が予約しようとしたとき、なかなか予約が取れなかったという記憶があります。

ヒポクラティック・サナトリウム

有名人も利用するといわれる石原結實医師が運営する断食施設です。ここは1回だけ利用させていただきました。医師である石原結實先生と話しながら断食できるのがとてもいいです。

私の場合ははじめから便秘で苦しんでいたので、そのことを話して療養コースで断食はしない方向でしました。最初から漢方の下剤を飲みながらの取り組みでした。

断食に入るまえにセミナーがあります。このセミナーでいろいろと体のことや断食のことなどを学びます。

石原結實先生のセミナーを一言でいうと「すべての病気は、血液の汚れが原因である」ということです。その血液の汚れの原因が「食べ過ぎ」から生じるといいます。

断食をすると健康が増強されるメカニズムは、次のようになります。

食べ物を食べると胃腸から栄養分が吸収されます。その栄養分は、たんぱく質、脂肪、糖分、ビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養素に分解され、血液によって脳、心臓、肺、皮膚などを構成している細胞に運ばれます。

この栄養素は、それぞれの活動に利用されます。その利用されたカスが死んだ細胞などとともに老廃物として再び血液に戻されます。水に溶ける老廃物は腎臓で濾過され、尿として排出されます。

水に溶けない老廃物(アルコールなど油性、揮発性のもの)は腸から便として排出されるか、肺から吐く息として排出されます。

食物を食べると、食物を消化するために血液は胃腸に集まります。その結果、毒素の排出機能がある腸や腎臓にいきわたる血液が少なくなって、毒素を排出する力が弱くなります。

したがって、頻繁に食べていると排出する機能がうまく働かなくなります。その結果、血液の汚れが解消されずに毒素が体をめぐることになり、全身の臓器に支障をきたらすことになるのです。

その血液の汚れの最たるものが尿毒症です。これは血液中の老廃物である尿素窒素、クレアチニン、尿酸などが血液中に残るために毒となって体を循環します。その結果、ありとあらゆる病気が起きてきます。

断食をすると食物を食べないので、胃腸に血液がいかない分、毒素を排出する機能が高まり血液が浄化されるので体の機能がアップします。

断食をしたとき、毒素の排出過程として「吐く息が臭くなる、目やにがでる、口臭が強くなる、どす黒い宿便が出る」などの症状に現れます。

上記のようなセミナーを聞くと、断食するモチベーションは上がります。

そこで、私は療養コースをやっているうちに「せっかく断食施設に来ているのだから断食もしてみたい」と思ったので断食にもチャレンジしました。こういったことも石原医師と相談して決めれるところに安心感があります。

ここでの特徴は、人参りんごジュースにレモンや生姜を少し絞っていれ、コップ3杯を飲むということです。人参りんごジュースとお茶も自由に飲め、断食も苦しくなくできます。生姜紅茶も部屋で飲み放題です。黒糖も部屋にあって「自由に入れて飲んでください」とあります。ここでの断食の特徴はリゾート気分でできることでしょう。

復食も和食中心の食事でおいしくいだけます。お風呂の施設やジムなどもあって過ごしやすいです。さらに近くを散歩などもよくしました。それは、断食中は「体を動かすこと」が推奨されていたからです。そこで「体を動かそう」と私は必死でした。

断食を終えるときに、私はだいぶ痩せこけてしまいました。これは、運動しないといけないと思って一生懸命に運動したことがかえって痩せることにつながったのだと思います。

ただ、断食をしたからといって、私の便秘が改善したわけでもありませんでした。むしろ家にかえってから悪化しました。やはり個人的な体質もあるのだと思います。

断食道場の経験を積んで思ったこと

いくつかの断食道場に行って、断食をした経験から思ったことは、「断食道場でのプログラムと普段の生活のプログラムの違いがない方がいいのではないか」ということです。

断食道場では1日2食ですが、私が普段の生活に入ると1日3食になります。断食道場と普段の生活の生活リズムが違うのです。それなら、断食道場でも3食のペースでのプログラムで復食した方がいいと思っています。

それは、さまざまな断食経験から私は「体は生活するときのリズムがとっても大切」ということが分かったからです。復食のときは2食であるが、普段の生活3食だとリズムが狂います。一方で復食のときから3食であれば、普段3食だとリズムが崩れません。断食より生活リズムを大切にする方がいいと感じました。

断食をしない方がいい場合

ここで「断食をしない方がいい人」について考えます。私自身の体験と一般的なことからいえることを順に述べます。

1:普段の食事を思うようにコントロールできていない場合(断食後はさらにコントロールがむずかしくなる)

私が断食で失敗する理由は、「断食中はなんとか断食プログラム通りにできても、普段の生活に戻った後に普段通りの食生活に戻ってしまう」からなのです。私の場合は、断食よりも「日常生活の食事を変え、どう胃腸を整えるか」をしっかり確立することが重要だと気付きました。

2:持病がある場合など

病気がある方やお薬を飲んでいるというような方は、基本的に主治医に聞いて行う必要があります。断食道場で医師のいる施設だと安心できます。

3:体力がない人

子供が育ち盛りのときは、栄養が十分に必要ですから断食は不適切ですし、高齢者はしない方がいいです。また妊娠している方は子供に栄養が必要ですからしない方がいいです。

ちなみに、あのイスラム教の断食期間でも免除される方は、妊婦や授乳中の女性、病人、乳幼児などです。参考になるのではないでしょうか。

「断食すればバラ色になる」と思うのをやめ、日常生活を充実させる

私は、「断食すればデトックスできて、さらに健康になって、便秘も治る」というバラ色的未来を夢見てやっていたように思います。

ただ、実際に何度も断食道場に通い、さまざまな日にちで断食をしてみてわかったことは、断食をバラ色の目で見るのをやめて「普段の食生活をまず充実させる」ことに集中した方がいいということが結論です。

胃腸のことや腸内細菌のことなどをよく理解して、良好な状態にすることを断食より最優先しましょう。